実家からだった。
また母の容態が悪くなったのかとおそるおそる電話をとったら、
父が、「クッキーが亡くなったよ」と。
推定16歳。
今から15年前、隣のおばちゃんが、”捨てられていた犬がいて、うちでは飼えないからどうか”と話を持ってきてくれたのだ。
初めてうちに来た日はただ怯えていて、声を発することもなく、ソファの隅でまるくなっていた。
日が経つにつれ徐々に家族にも打ち解けていき、車に乗ってどこにでも一緒に行った。
とてもおとなしく、とても賢い子だった。
散歩が大好き。でも雨が嫌い。玄関を出て雨が降ってると、行くのを躊躇する。
小雨の中外に出ると、私の傘に一緒に入ってきていた。
おなかを撫でられるのが好きで、やめると前足でポンポンと腕をたたいて催促してくる。
人が食べてるものが大好きだった。
母が最初に入院した時は、クッキーもご飯が喉を通らなくて病院に連れて行った。
私が一緒に暮らした日々は4,5年だったけど、今思い返すと、あの頃はみんな若かったな。
みんな元気で、キラキラしてた日々を思い出した。
最近では目も白くなり、耳もほとんど聞こえなかったし、触れるとビクッとするので撫でるのを躊躇していた。
先週帰った時も声をかけただけだった。
撫でておけばよかった。
2日前は母の誕生日だった。母が誕生日を迎えるのを見届けてくれたのかな。
クッキーありがとう。
いろいろ、ありがとう。
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